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新たな事件のはじまり
「やけに静かだと思わないか?必ずといって邪魔しにくる副島が珍しく来ない」
言われてみれば確かにそうだ。
お風呂から車椅子にスムーズに移動しやすいように、浴室のドアはいつも開けっ放しにしている。ちくちくと背中に刺さる視線と人の気配に、おっかなびっくり後ろを振り返ると、コオお兄ちゃんが仁王立ちになり、彼を睨み付けていた。ということがここ最近、続いている。
心配なのは分かるが、過保護過ぎないか?四季は俺の妻だ。男同士だし、裸は見慣れていると思うが、四季は恥ずかしがり屋なんだ。コオお兄お兄ちゃんのシスコン溺愛ぶりに、彼も困り顔になっていた。
「ねぇ、和真さん、救急車のサイレンの音、近くない?気のせいかな?」
「いや気のせいじゃない」
さっきまで遠くに聞こえていた音がすぐ近くに聞こえて来た。
「お向かいさんかな?誰か具合が悪くなったとか」
「もしかしたらそうかもな」
彼の手がお尻の下に差し入れられた。
「四季の裸、誰にも見せたくないから、上がろう」
ざぶ~ンと湯面が大きく揺れて、抱っこしてもらい浴槽から上がると、タオルを何枚も重ねて敷いた車椅子の上に下ろしてもらい、素早く体を拭いてもらった。
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