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新たな事件のはじまり
「真っ白いモコモコの耳と尻尾付きのパジャマ四季にすごく似合う。ボタンが四つしかないからすぐ脱がせられるし、ズボンもゴムが緩めだからこっちもすぐ脱がせられるし。着せる楽しみも脱がせる楽しみも全部夫である俺だけの特権。これほど嬉しいことはない」
「あの、和真さん……」
すごく言いにくいんだけど。
肝心要なもの着せるの忘れてるよ。
「あ、もしかしてこれ?」
悪戯っぽい笑みを湛えながら取り出したのは僕の下着だった。目の前でひらひらと揺らした。
「男性用の下着は色気がないから、俺がプレゼントした女性用の下着を身に付けるように頼んだはずだよね?」
「だって、それは……」
肌触りはさらさらして嫌じゃないけど、すーすーして、落ち着かないんだもの。それに、お尻に食い込んで痛し。
そっと、様子を伺うように顔を上げると、彼の背後で固まっているコオお兄ちゃんと目が合ってしまった。
「和真、あまりしつこいと嫌われるぞ」
「四季は俺を嫌いにならない。副島、お向かいさんが救急車を呼んだのか?」
「呼んだのは父さんだ。呼び鈴が何回も鳴るから刺股を持って外に出てみたら、血まみれで倒れている女性と子どもがいた」
「悪いがもう一度言ってくれないか?」
一瞬凍りついたように彼の動きが止まった。
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