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つかの間の穏やかな日々
「四季く~~ん、四季く~~ん」空耳かな?初瀬川さんの声が聞こえてきたような。平日だしいる訳が……。
「四季くん、みっけ!」
体の向きを変えようとした次の瞬間、むぎゅーっと顔をお腹に抱き寄せられた。
「会社に戻ろうとしたら、四季くんたちがお見舞いに来るって聞いて、それで待ってたの。良かった会えて」
「あ、あの初瀬川さん」
こはるちゃん怖がってないかな?気になってちらっと隣を見ると、目をまんまるくして初瀬川さんをじぃーと見つめていた。
「ちょっと四季くん。目の下にクマが出来てるじゃないの。新婚なのは分かるけど、ちゃんと寝ないと駄目よ」
初瀬川さんとこはるちゃんの目が何気なく合った。
「もしかして心春ちゃん?」
初瀬川さんがこはるちゃんを怖がらせないように笑顔で声を掛けたけど、ササッと車椅子の後ろに隠れてしまった。
「はじめまして。はつせがわはなです。四季くんのお友だちです」
「しーちゃんの?」
「うん。だから心春ちゃんの味方だよ。なんでハグしてるかって?それは、四季くんが大好きだからだよ」
「こはるちゃんも、しーちゃんすき」
「そっか」
初瀬川さんがにこにこと笑いながら話し掛けた。
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