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暗澹

「雄士さん、本当は違う用事があったんじゃないのか?」 帰ろうとした雄士さんをお爺ちゃんが呼び止めた。 「吉村のところに警察に被害を訴えても取り合ってくれないと男性が相談しに来た。あるマッチングアプリで出会い親しくなった女性と実際に会う約束をして、指定された場所に行ったらヤクザみたいな男たちに取り囲まれ、おっさん、彼女高校生だよ。ダメでしょうと脅され、有り金をすべて巻き上げられた。キャッシュカードも奪われたと被害を訴えた。吉村がマッチングアプリを調べたら、その女性は明日花にそっくりだった」 「美人局は、男性の下心に付け込んだ卑劣な犯罪だ。もし明日花で間違いないのなら、一刻も早く見付けて保護しないと。あとで取り返しのつかなかないことになるかも知れない」 「両親が困っている顔を見て、ざぁまぁみろってほくそ笑んでいるのかもな」 「心が悲鳴をあげる前に助けてやらんとな」 お爺ちゃんがスマホをすっと取り出すと、城さんに連絡を入れ、雄士さんから提供された情報を伝えた。 手遅れになる前に見つけてくれ。何度も頭を下げ頼み込んだ。

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