｢み～つ～け～た。あの人に聞いていたより全然可愛いじゃん。本当に男？」 茶髪で鼻にピアスをした男がニタニタと薄笑いを浮かべた。 ｢で、このガキが貴大の娘か。父親に似て可愛げのないガキだな」 丸刈りの男が唾をペッと吐き出した。 ｢お前らはガキの相手な」 ｢ふざけんな」 ｢文句を言いたきゃ、あの人に言え」 茶髪で鼻にピアスをした男ともうひとりの男が、まるで値踏みするように僕を見下ろした。 ひとりだけだったら買い物かごの中身を片っ端から男たちに投げつけて、逃げることも、もしかしたら出来るかも知れない。 でも今はひとりじゃない。 守るべき小さな命が目の前にある。 こはるちゃんだけでもなんとしてでも守らなきゃ。 ｢あなたたちの言う通りにします。その代わり姪には手を出さないでください。家に帰してあげてください」 足も手もぶるぶる震えて怖かったけど、買い物かごを抱えながら、毅然とした態度で男たちを見上げた。 ｢あっ、いたいた。一宮さん、お釣忘れてるよ」 あとを追い掛けてきてくれたお店の人が、 ｢何してるんだお前ら」 声を荒立てると、男たちはぎょっとして蜘蛛の子を散らすように慌てて逃げ出した。