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カインコンプレックス

「きみが心春ちゃん?」 たもくんが笑顔で話し掛けた。 「うん。おにいちゃんはだぁ~れ?」 「四季の友だちの岩水だよ」 「いわみしゃん?」 「あぁ」 こはるちゃんは首を傾げてしばらくの間考え込んだのち、 「こはるちゃんわかったよ!」 両手をぱちんと叩いた。 「何が分かったんだ?」 「おにいちゃん、しーちゃんすき」 「心春ちゃんは?」 「こ~んくらい、すき」 ニコニコ笑いながら得意気な顔で、両手を広げられるだけ広げてみせた。 それを見たたもくんはクスッと笑うと、こはるちゃんと同じように両手を大きく広げた。 「心春ちゃんと同じくらいお兄ちゃんもしーちゃんが好きだよ」 「いっしょだ」 施設ではぐずってばかりでなかなか泣き止まない小さい子をおんぶに抱っこしてあやしていたたもくん。小さい子の面倒とお世話は手慣れたもの。たもくんが子ども好きだということが分かるのか、こはるちゃんは全くといっていいほど警戒しなかった。 ゴホゴホとわざとらしい咳払いの声が聞こえてきた。

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