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彼のお父さん
「やはり覚えていませんか。妻子がいながら二股、三股が当たり前のあなたにとって私の義理の妹はただの使い捨てのオモチャでしかなかった。2年前、義理の妹をあなたに奪われ、残された私たち家族の生活は一変してしまった。妻は妹を助けらなかったことで自分を責め続け、人生に絶望した。これだけ言っても分かりませんか、私が誰か」
朝宮さんは不思議そうに首を傾げていたけど、鈍感な僕にもなんとなく分かった。彼が熊倉さんのご主人かも知れないってことが。
「カシラ、オヤジの大事な身内をいじめる性悪なオッサンがいるんだけど、若いのすぐに寄越してくんない」
ヤスさんが誰かに電話を掛けた。
「ちょっと待ってくれ。それだけは勘弁してくれ。すぐに帰るから」
彼のお父さんの顔色がみるみるうちに青ざめていった。
「彼は結が菱沼組に匿われていることを知ってる」
櫂さんが小声でそっと教えてくれた。
「菱沼組の組長さんがね、結の弟である和真くんと四季くんも身内も同然だ、そう言ってるんだよ。だから、幹部であるヤスさんに四季くんの警護を命じたんだよ」
「全然知らなかった」
「普通に考えると一生関わることがないからね」
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