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新しい出会い
「菱沼組の組長さんの奥さんね、僕と同じで両性なんだって。ヤスさんが話してくれたんだ」
「そうか。四季、見てごらん」
彼に言われ紙袋のなかを覗くと、歯医者さんは怖くないよ、そんなタイトルの絵本や、遊びながら歯磨きの大切さが学べる知育おもちゃや、歯磨きが出来たらご褒美のシールをぺったん出来る絵本なんかがたくさん入っていた。
「自分の子でも育てるのが大変なのに、姪を引き取り面倒をみていると聞きました。大変でしょうけど頑張って下さい。なにか聞きたいことがあればヤスさんを通し、なんでも気軽に聞いてくださいね。そう書いてある」
一緒に入っていたメモを見せてもらった。
とても丁寧な言葉遣いで綺麗な字でそう書かれてあった。
「見ず知らずの僕たちのためにここまでしてくれるなんて。感謝してもしきれない」
「そうだな」
彼とそんな話しをしていたら、こはるちゃんがお風呂から上がってきた。
「しーちゃん、おなかすいた」
「うん。分かった。髪を急いで乾かして、それからご飯にしようね」
「うん!」
「俺はご飯より四季がいいな」
頬杖をついた彼にニコッと微笑まれ、顔から火が出るくらい恥ずかしくなったのは言うまでもない。
ご飯を食べて七時までテレビを見たりママにお手紙を書いたりと一緒に過ごして、それからこはるちゃんと一緒に歯磨きをして、隅から隅まで丁寧に仕上げ磨きをして、寝かし付けまで全部彼が張り切って頑張ってくれた。
だから、九時前には………。
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