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決着のとき
卯月さんのところに戻ろうとした男性がなにかに気付き床を指差し「シァ」大きな声を上げた。
「シァ?」
「危ないから顔を下げろ。じゃないかな?四季くん、黒田さん窓から離れて。橋本さん、銃をこっちに……」
言い終わらないうちに乾いた音が一回だけ聞こえてきて、その直後、ガラス窓に蜘蛛の巣状にヒビが入った。
「メッ、ダヨ。モウ」
男性が不快感を露にした。
「オヤジ、ダメネ。イッタ」
男性がガラス越しにキヨちゃんを睨み付けた。
「ちょっと待ってください。そんなの素手で触ったら火傷しますよ。それになにかの拍子に爆発するかも知れないし。あ、あの……聞こえてますか?」
男性が不思議そうに首を傾げた。
「だから、危ないですよ。危ないの英語は……あ、そうだ。デンジャラスだ。デンジャラス。危険です」
額に汗をかき慌てる櫂さんとは対照的に男性は怖いくらい落ち着いていた。
「オー、スバラシー」
柱に食い込んだ弾を器用に取り出すと、照明にその弾を翳し、目をキラキラと輝かせて見ていた。
「四季、ソイツは元々変わっている。それにある意味変態だ。近付かない方がいいぞ」
外からヤスさんの声が飛んできた。
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