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結婚式

「和真、大事な妹をお前に嫁にくれてやるんだ。四季のこと泣かせたらただじゃおかないぞ」 征之おじちゃんが持ってきてくれた車椅子にそっと下ろしてもらった。 「分かってるよ」 彼の表情が引き締まった。 どくんと高鳴る胸を抱えながら、差し出された彼の右手に自分の右手を重ねた。 彼の歩調に合わせハンドリムをこいで神父さんの前に進もうとしたら、 「四季と心春と円花と、それからお腹の子を何があっても絶対に守ってくれ。和真、頼んだぞ」 後ろからコオお兄ちゃんの声が飛んできた。 「お前に言われなくても……ん?いま、何て言った?」 はじめ意味が分からなくてきょとんとしていた彼だったけど、 「朝宮さん、おめでとう~~」 「我が不肖の弟もなかなかやるじゃん」 結お姉さんや初瀬川さんたちに拍手喝采を受けて、ようやく意味を理解したみたいで、 「全然聞いてない。いつ分かったんだ?」 目を丸くしていた。 「昨日ね紬ちゃんの1ヶ月健診に付き添って南先生のところに行ったのね。女の子の日最後にいつ来た?って先生に突然聞かれて、そういえば1ヶ月以上来てないって言ったら念のため検査しようってなって、それでお腹のなかに赤ちゃんがいるって分かって……和真さん、ちょっと待って」 「よっしゃーー!」 ガッツポーズをし、嬉しさを爆発させた彼に 肩を抱き締められると、そのままお姫様抱っこされ、くるっと一回転した。 振り落とされないように無我夢中で首根っこにしがみついた。 式がなかなかはじめられなくて神父さんに咳払いをされてしまった。

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