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みんながみんな祝福してくる訳じゃない

その女性に見覚えがあった。会津若松の銭湯で結お姉さんに見せてもらった写真に写っていた女性だった。彼のお父さんの奥さんだ。 酔っ払っているのかな。顔は赤くて、靴は履かず裸足のまま。意味不明なことを喚き散らしながら、ふらふらと僕たちのところに向かってきた。 「受付で私は花婿の母親だ。ご祝儀袋を全部寄越せと要求してきたんです。新郎新婦様からご両親はいないと伺っておりましたので、それは出来ないと丁重にお断りしたのですが……」 「ご迷惑をお掛けしてすみません」 彼が頭を下げた。 「妻は火が怖いんです。ろうそくの火をすぐ消してください」 「分かりました」 スタッフのかたにろうそくを渡すと、 「四季は心春と円花とお婆ちゃんを守って」 「和真さんは?」 「俺は大丈夫」 毅然とした態度で女性の前に立ち塞がった。 彼だけじゃない。事情を知るお爺ちゃんやコオお兄ちゃんや征之おじちゃん、それに斎藤さんと吉村さんと武田課長がほぼ同時に椅子から立ち上がると彼のもとに一斉に集まった。

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