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あなただけ幸せになんて絶対に許せない
女性がきょろきょろと辺りを見回し、テーブルの上にあったアンテーク調の真鍮製のキャンドルスタンドをがしっと掴んだ。三本立っているろうそくにはいずれも火がついていた。
「そういえば火が怖いんだよね。私いいもの持ってんのよ」
女性が薄ら笑いを浮かべながらポケットから取り出したのはライターオイルだった。それを見た彼とコオお兄ちゃんの顔色が一変した。
「お爺ちゃんと武田課長はスタッフの方とゲストの皆さんを廊下へ誘導してください」
「櫂、四季と結と子どもたちを早く外に!」
女性はキャンドルスタンドにライターオイルを近付けて、彼とコオお兄ちゃん、それに男性スタッフと警備員を威嚇した。
「手も足も出せないとはまさにこのことね。ざぁまーみろ」
アハハ女性は勝ち誇ったようにゲラゲラと笑いはじめた。
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