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読んでいただきありがとうございます‼ママともとの出会い

「ヤスさんも同性の彼氏さんがいるんですか?」 「さぁ、どうだろう」 「本人に聞いてみたら?」 紗智さんと那和さんに言われ後ろを振り返ると、当の本人が立っていたから腰を抜かすくらい驚いた。 「そだ、驚くことねぇべ。これは橘からの差し入れだ」 ヤスさんが大きめの紙袋をハートの形をしたテーブルの上にそっと置いた。 「四季さん、三階のフロアー、リフォーム中でまるまる空いているから泊まっていったらどうだってオヤジが」 「あの、ヤスさん。和真さんはお酒が呑めません。一口飲んだだけで意識が飛んでしまうんです。呑めないのに無理して呑んでベロンベロンに酔っぱらって卯月さんに迷惑を掛けていないか心配で心配で」 「オヤジも酒は呑まないし、煙草も吸わない。他にもメンバーはいるが、談笑しながらデザートに舌鼓を打っている。まるで兄弟みたいに仲がいい」 ププッと笑い出した。 「ふたりには共通点が多い。焼きもち妬きなところと、カミさんがとにかく大好きなところと、家族を大事にするところと、血の繋がりのない子どもを手元に引き取り面倒をみていること。さっきもお互いのカミさんの話しと子どもの話しで盛り上がっていたぞ」 「バーバ、マーに首たっけ」 「年がら年中ラブラブだもんね」 「ひとの目気にしない」 「それね」 紗智さんと那和さんが相づちを打った。すると未知さんが顔を真っ赤にし、 「もぅ、恥ずかしいから」 顔を両手で覆った。その仕草が可愛くてぽっとして見とれてしまった。 「四季、和真さんがあとふたりは子どもが欲しいって真面目な顔で言ってたぞ。カミさんが若いんだ、あと三人頑張れるだろうってオヤジにはっぱをかけられて、作る気まんまんになったていたぞ」 「あと三人って……まだこの子が生まれてもいないのに。和真さんも卯月さんも気が早いんだから」 顔から火が出るくらい恥ずかしくなった。 「四季さんもマーみたく可愛い。ね、那和」 「うん。可愛い」 ふたりに冷やかされ顔がますます熱くなった。 「さぁーてと、飯にするか」 ヤスさんがタッパーからおかずをお皿に移し、橘さんが腕によりをかけて作ってくれたご馳走をテーブルにところ狭しと並べてくれた。

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