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真実はあまりにも残酷で
「あのね、和真さん」
「ん?どうした?」
腕枕をしてもらい彼の胸元に頬を擦り寄せた。
「やっぱりいい。なんでもない。おやすみなさい」
布団を頭から被ろうとしたら、
「気になって寝れないだろう」
あえなくそれを阻止された。
「絶対に怒らない?」
「怒らないよ。どうしたんだ?最近変だぞ」
お爺ちゃんとお婆ちゃんがひた隠しにしてきたことを彼はまだ知らない。
四季くんのほうから和真に話してあげて。ふたりから聞かされたのはあまりにも衝撃的なことだった。
知らぬが花という言葉がある。儂ら、この事実を墓場まで持っていくつもりでいたが、勘の鋭い卯月さんに呆気なく看破されてしまった。お爺ちゃんが苦しそうに眉を寄せ自嘲した。
「……それって俺のことだろう」
思いもよらない言葉が彼の口から出てきて、ドキッとした。
「身重のカミさんに荷の重いことをさせんな。今が大事なときなんだぞ。俺も人のことは言えないが、涙脆くなったり、情緒不安定になったり、悪阻が酷くなったり、新しい命を宿すってことはとにかく大変なんだ。カミさんは自分のことで手一杯なはずだ。余計な心配を掛けさせんなーーそう卯月さんに言われた。ごめんな四季」
「ごめんなさいは僕のほうだよ。なかなか言い出すことが出来なくてごめんなさい。だから謝らないで」
「四季、きみって子は……」
彼が驚いたように目を見張った。
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