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第一章・9
結局、来夢の部屋は暗がりになった。
オレンジ色のナツメ球の下で、二人は愛し合い始めた。
隣の部屋で、紫苑が息を殺しているのも知らずに。
引き戸の細い隙間から漏れる、明かり。
その光と共に、濡れた音が響いてきた。
「ん……、来夢……」
「波留」
二人はどうやらキスをしているらしい。
興奮と同時に、紫苑の胸に嫌な予感が広がり始めた。
今ならまだ間に合う。
ここから離れるんだ。
一階のリビングへ行って、ソファで丸くなって眠ってしまえ!
しかし、波留の声に引き留められた。
「あ、あぁん!」
「声、でかいよ」
「そんなトコ、齧っちゃ……、ダメぇ……」
甘い、揺れるような声。
紫苑は、その場から動けなくなってしまった。
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