11 / 69
第一章・11
「あ、あん。ふぁ、あ、あんっ。んっ、んッ、んんぅ!」
切れ切れの波留の声に併せて、肌を叩く音がする。
ぱん、ぱん、ぱん、ぱんっ。
「あ、あぁ、ダメ。あ、はぁッ! 来夢ぅう!」
ひときわ高く波留が啼き、次いですすり泣きのような声が漏れ始めた。
(波留、もしかしてイッたのか?)
それを思うと、紫苑もさらに硬く充血し、膨れ上がってゆく。
「あ、俺もイきそう。大丈夫? 内に出すよ、いい?」
「あぁん! まだダメぇ。僕、イッてるところなのにぃ!」
「も、遅い。出るッ!」
「ひぁあ、あ! はぁ、あぁあん!」
二人と同時に、紫苑も精を吐いていた。
「っく。うぅ……」
熱い。
どうしようもなく、熱い。
でも、寒い。
心は、こんなにも凍えてる。
大きく息を吐き、紫苑はティッシュで汚れをぬぐった。
波留と来夢は何か話しているようだったが、紫苑はのろのろと立ち上がるとその場を後にした。
胸には、後悔がどろりと膿んでいた。
ともだちにシェアしよう!