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第一章・11

「あ、あん。ふぁ、あ、あんっ。んっ、んッ、んんぅ!」  切れ切れの波留の声に併せて、肌を叩く音がする。  ぱん、ぱん、ぱん、ぱんっ。 「あ、あぁ、ダメ。あ、はぁッ! 来夢ぅう!」  ひときわ高く波留が啼き、次いですすり泣きのような声が漏れ始めた。 (波留、もしかしてイッたのか?)  それを思うと、紫苑もさらに硬く充血し、膨れ上がってゆく。 「あ、俺もイきそう。大丈夫? 内に出すよ、いい?」 「あぁん! まだダメぇ。僕、イッてるところなのにぃ!」 「も、遅い。出るッ!」 「ひぁあ、あ! はぁ、あぁあん!」  二人と同時に、紫苑も精を吐いていた。 「っく。うぅ……」  熱い。  どうしようもなく、熱い。  でも、寒い。  心は、こんなにも凍えてる。  大きく息を吐き、紫苑はティッシュで汚れをぬぐった。  波留と来夢は何か話しているようだったが、紫苑はのろのろと立ち上がるとその場を後にした。  胸には、後悔がどろりと膿んでいた。

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