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第二章・4
「ありがとう、か」
由樹さん、このまま来夢の新しい恋人になるのか?
そしたら、波留はどうなるんだ。
泣きべそをかいた波留の顔が、脳裏に浮かんだ。
ダメだろ、そんなの。
あいつはいつも、元気に笑ってなきゃいけないだろ。
リビングへ戻ると、来夢はぐうぐう眠ってしまっていた。
どうする、俺。
波留が一番望むことは、何だ?
とりあえずは、散らかり放題のリビングをそっと片付けた。
音をたてないように。
来夢を起こさないように。
ゴミをまとめ、皿を食洗器にセットして、アルコールの缶を水洗いしたところで、由樹がバスから出てきた。
「後片付け、してくれたんだ。ごめんね」
「俺も、散らかしたし」
ソファの上で幸せそうに眠っている来夢を見て、由樹はくすりと笑った。
「やっぱり眠っちゃったか」
その言葉に、紫苑はある確信を持った。
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