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第二章・5
「俺の部屋、行きませんか。話したいこと、あるんで」
「ここじゃ、ダメなのかな」
「来夢が起きると面倒だし」
じゃあ、と二人は二階の和室へ進んだ。
「ここが、紫苑くんの部屋。きちんと片付いてるんだね」
「クッション、どうぞ」
くつろいだ姿勢の由樹に、紫苑は話し始めた。
「もしかして、わざと来夢のこと酔いつぶしました?」
「うん~、半分当たり」
「なぜです? 来夢の部屋に泊まるの、イヤでしたか?」
尋問みたい、と由樹は微笑んだ。
「どうして、そんなこと訊くのかな。もしかして、紫苑くんお兄さんのことが好きなの?」
てんで的外れな由樹の質問に、紫苑はあからさまに嫌そうな顔をした。
違いますよ、と言って一つ息をついた。
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