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第二章・6
「来夢、今付き合ってるヤツがいるんで。それで」
「二股が許せない?」
「そうじゃないけど」
じゃあ、何? と話す由樹の声は穏やかで、大人の余裕が見て取れる。
敵わないな。
波留は、この人には敵わない。
このままいけば、来夢は由樹さんに乗り換える。
(それだけは、避けないと)
「来夢より、俺はどうですか?」
「ええっ?」
「俺と、付き合いませんか。由樹さん」
「本気?」
「本気」
ぐい、と紫苑は由樹の方へ近づいた。
由樹は、逃げない。
にこにこと微笑み、妖艶なまなざしをくれる。
紫苑の唇は、由樹のそれと重なった。
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