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第三章・7
「僕、クリスマスプレゼント決めたよ」
「そうかよ」
「来夢、喜んでくれるかなぁ」
「多分ね」
放課後、波留は紫苑と共に家路についていた。
「何で俺についてくるんだよ」
「来夢の家、紫苑と同じだもん」
「あいつに、何か用か」
「用が無きゃ、行っちゃいけない?」
勝手にしろ、と紫苑はマーケットに立ち寄った。
夕刻の店内は、それなりに混んでいる。
迷子にならないように、波留は紫苑の手を握った。
(手なんか、握るなよ)
そう思いながら、振り払えない自分がここに居る。
ささやかな幸せをごまかすために、紫苑は波留に訊いた。
「晩飯、何か食いたいものある?」
「ビーフシチューが食べたい!」
「解った」
食材をそろえ、紫苑は波留と共に帰宅した。
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