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第四章・7

(すぐに抜くのは、たしか嫌いだったよな)  そんなことを思い出し、紫苑はしばらく由樹の体内にとどまった。  手を握り、髪を梳き、彼の震えが治まるまで待った。 「……ありがと。もう、いいよ」  由樹のお許しを得て、紫苑はようやく解放された。  使用済みのスキンを始末していると、背中に由樹の声がした。 「何で、スキン着けるの? 僕、ピル飲んでるから中出ししても平気だよ?」 「ん、何となく」  万が一、ってことがあったら、一番困るのは由樹だろ。  そんな風に、逃げた。  それでも由樹は紫苑の返事を、思いやりと取ってくれたらしい。  嬉しそうに、背中からゆっくりと抱きついてきた。 「紫苑、優しいね」 「全然」  由樹を抱きながら、波留のことを考えていたのだ。  俺は優しくなんか、ない。 「今頃、来夢は何してるんだろうね」 「さあな」  解ってる。  波留と一緒に、俺と同じことをしてるに違いない。  物憂げな気分は、紫苑の胸から離れなかった。

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