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第六章・6
波留は、とぼとぼと廊下を歩いていた。
まるでケンカでもしたように別れてしまった、昨夜。
そのことを思うと、一日中気が晴れなかった。
校庭から出ると、波留の傍へ車が走って来て止まった。
来夢の自動車だ。
ウインドウが下り、来夢が身を乗り出して波留に声をかけた。
「おい、乗れよ」
「いいの?」
昨夜、不穏な別れ方をしたのだ。
おずおずと、波留は来夢の車に乗った。
(来夢、怒ってないのかな。迎えに来てくれて)
しかし、しばらく走っているうちに波留は息苦しくなってきた。
いつもなら、波留の好きな音楽を流してくれるのに、今日は無音だ。
いつもなら、大学での出来事を楽しく話してくれるのに、今日は無言だ。
いつもの来夢じゃない。
そう、波留が気づくのは早かった。
「あのさ、波留」
「何?」
「別れようぜ、俺たち」
「!?」
あまりに突然の、来夢の言葉だった。
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