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第八章・4

 キスしてる。  俺は、波留とキスしてる。  ホントに、波留と……。 「ね、紫苑」 「え?」 「目ぇ、閉じないの?」 「あ、えっと。閉じた方が、いい?」  俺、今夜はずっと波留を見ていたいから。  そんな風に、紫苑は素直に心を言葉にした。 「じゃあ、いいよ。ちょっと、恥ずかしいけど」 「じゃ、もう一回、キス」 「ん。ぅん、っふ。う、んん……」  紫苑は波留の柔らかな唇を食みながら、その細い舌を味わいながら、部屋着のボタンをていねいに外していった。  白い首筋、華奢な肩。  細い鎖骨に、小さな乳首。  夢にまで見た波留の全てが、今紫苑の手の中にある。 「あ、ん、ぅんっ。はぁ、あ、紫苑っ」  甘くこぼれる声も、俺の名を呼んでくれる。 「波留。好きだ、波留……ッ」 「紫苑、僕も。僕も、紫苑が好き。大好き」  ああ、やっと聞けた。  波留からの、俺が好きだという言葉。  紫苑の胸は、歓喜に張り裂けそうだった。

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