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第八章・7

 波留が余韻から少し覚めた頃を見計らって、紫苑はその身を引き抜いた。 「んっ、あん」 「痛かったか?」 「ううん、大丈夫」  波留は、満足げな表情で紫苑を見上げた。 「すごかった。すごく感じたよ、紫苑」  少し不愛想で、ぶっきらぼうで。  でも不器用な優しさに満ちていたこの人が、こんなに激しい熱情を持ってたなんて。  波留は、恋人になってから初めて見る紫苑の一面に酔っていた。  彼のこんな姿が見られるのは、僕だけなんだ。 「嬉しいな。すごく、嬉しい」  紫苑の胸に顔を擦り付け、波留は甘えた声を出した。 「もう、寒くないか」 「夏より暑いくらいだよ」  ふふっ、と二人で笑い合い、抱き合った。  素裸でも、湯気が出るほどホカホカだ。  紫苑は、ウェットティッシュで波留の体を拭いてあげた。  その行為に、波留は驚いたようだった。 「紫苑、優しい!」 「普通だろ」  波留は、いつも来夢の後始末をしてから、自分で体を拭いていたのだ。  自分を真っ先に大事にしてくれる紫苑に、新鮮な感動を覚えていた。

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