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お兄さんといいことがしたい!④
「ぉ!?」
理仁 が布団から顔を出し、こっちをじーっと見ていた。目が合うと、ニヤリと兄そっくりな表情 で笑った。
「とうちゃん、とんのんのんり」
「……。」
「なにしてんの?」
僕らが答えるよりも先に、理仁は布団からぴょんと飛び出してきてとっとこと駆けてくると、僕と兄の横に座った。
「とうちゃん。ぱい、ちゅっちゅしたい」
「えぇ……」
理仁が兄の懐に潜り込もうとしてくるので、僕は兄の上から降りた。布団の中を足で探り、兄の下着を探り当て、こそこそと兄に手渡しする。しばらくゴソゴソやって、兄はなんとか下着を履いた。僕も自分の下着を探し出して身に付けた。
「とうちゃん、これ、これ」
理仁はパンパンと兄のスエットの胸元を叩いた。
「しょうがねぇなーもー」
兄はあっさり、上着を鎖骨の上までガバッと持ち上げた。
「ふぅん、ふぅん!」
理仁は獣のように顔を横に振りながら兄の乳首にふるいつき、口に含んだ。
さっき、兄が胸を食まれるのを嫌がり拒んだ理由はこれだったのだ。兄のおっぱいはまだ、理仁専用ということ。理仁は兄の乳首がすっかり見えなくなるほど頬張り、空いている方の乳首は指でこねくりまわした。その巧みな指の動きには、つい感心してしまう。なるほどこうやるのかと、まさか2歳児に教わるなんて。
「ぐふん」
僕が覗き込んでいるのに気づくと、理仁は口に乳首を含んだまま、またニヤリと笑った。小さいのにオジサンみたいな表情だ。
兄は苦悶の表情をして、片乳を握り締める理仁の手の甲を軽くペン! と叩いたが、理仁は益々食らいつき、乳首をぐいぐいひねり上げ、兄をドスドス音がするほど蹴った。
「いてっ、馬鹿、ちんちん蹴んなっ! マジでいてえ!」
なんて暫く騒がしかったが、やがて理仁は兄の腕の中に丸まって、すやすやと安らかな寝息を立て始めた。
「ったく、いつから見られてたんかな」
「全然気が付きませんでした」
「つい、夢中になってたよな」
「ええ、つい……」
理仁がすっかり熟睡しているとはいえ、もう仕切り直しをする気は起きない。僕も兄もすごすごとズボンを履き、理仁を間に挟んで眠った。
そして翌朝。
「ばーちゃん。とうちゃん、とんのんのんり、ちゅーしてた!」
「えっ?」
「とうちゃん、とんもんもんり、ちゅーしてたよ!」
「あんたたち……」
昨夜のことをバッチリばらされ、母からは白い目で見られた。僕と兄はうつむき、黙々と朝食を口に運んだ。
(おわり)
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