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僕と大輔は、実は従兄弟同士。だから、お互い生まれた時からの付き合いになる。でも、同じ学校に通ったのは小学校までだった。大輔はずっと公立のコース。もちろん大学も、国立の良いところだ。
僕は母親の強い薦めで中学受験をして、私立大学付属の中学校へ入った。
小学校の時も、僕の極端な女顔をからかってくる意地悪な同級生 には事欠かなかったんだけど、中学・高校と一貫制の男子校に通うことになって、僕はもっと面倒な目に遭ったんだった。
(中学も高校も、あんまり思い返したくない……)
なぜだか過剰に『お姫様』扱いをされて、やたら神聖視してくる自称ファンとか、ナイト気取りで僕に近付く人間を選別する自称取り巻きとか、そんなのばっかりに囲まれて過ごしてたんだ。
その結果を端的に言えば、中高六年間で、僕は一人もまともな友達を作れなかった。
(……大学も大学で、なんか大変だったし)
広い構内に当たり前に女の子が居るようになると、みんなが僕を異様に担ぎ上げることはなくなった。でもその代わり、僕の属した大きくないコミュニティでは、頻繁にいざこざが起こるようになったんだ。
僕はもともとがっつりインドア派で、好きなものと言えば、読書に映画、ゲーム、プログラミング。
その手の趣味が合う友達を探すと、自然、オタク気質の人と仲良くなる。僕はアニメやアイドルはわからないけど、でも多分オタクみたいなものだから、彼らといっしょに居るのは楽しかった。
たとえば知り合ってすぐはぎこちない距離があっても、親しく話すようになれば、みんな口を揃えて「人間は外見じゃない。中身が大事」って言ってくれる。それは、僕がいちばん聞きたかった言葉だった。
(やっと、楽に息が出来る気がしたんだ)
そんなふうに最初こそのんびり過ごすんだけど、日が経つと、彼らは僕には見えないところで喧嘩を始めるようになる。僕が加わるまではすごく仲の良かったグループが、だんだんぎすぎすしてきて、最後には崩壊してしまう。
それが一度や二度じゃない。
だから僕は、大学を卒業する頃には、「サークルクラッシャー」と呼ばれてた。
そのあたりの詳しいことは大輔にも話していないけど、この聡い幼馴染みは、たぶん勝手にいろいろ察してるはず。
だってついに、僕は大学でも、友達を作ることが出来なかったんだから。
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