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 滝口さんはその下のインナーごとふわふわスウェットを脱ぎ去ると、素肌のまま、僕に覆い被さった。  ちゅ、ちゅとついばむキスをしながら、僕の方も、借りた彼の部屋着をまるごと脱がされてゆく。  裸の身体を絡め合って、滝口さんの両腕にぎゅっと閉じこめられる。そうしたら、二人、まるでおんなじ巣の中に生まれ落ちてる雛鳥みたいだった。鼓動の音。肌のにおい。世界のぜんぶがいま、それだけ。  誰にも、邪魔なんて出来ない。 (ひとりじめ、していいんだ) (滝口さん)  ぬるみを纏った彼の指が、僕の後ろをそろりと探る。ここを使うんだよ。想像出来る? すぼまりをゆるゆるされながら、そんなふうに問われて、僕はぐっと唇を結んだ。ただじっと、滝口さんを見上げる。  どんなふうな言葉にして伝えればいいのか、ぜんぜん、わからない。 「ここ。わかる?」  そう訊かれて、小さく頷く。 「こわい?」  それにも。でも。 「いや?」 「……」  僕自身も知らなかった、僕の欲望。どうして、こんな気持ちになるんだろう。どこから、そんな欲求が生まれるんだろう。ぜんぜんわからない。でも、でも。 『想像出来る?』  そんなふうに訊かれたから、もう、知らない扉が開いてしまってた。 「──」  心臓がどんどん鳴る。あまりの恥ずかしさに、視界まで少し潤んだ。だけど滝口さんの表情だけは見落とさないようにしながら、僕はそっと、首を横に振る。……いやじゃ、ないよ。  滝口さんと、ひとつになりたい。繋がりたい。 「瑠姫君……」 「ッ、ン」 「いっぱい、気持ちよくしてあげるね。いっしょに、天国へ行こうよ」  天国?  死んじゃうのかな、て頭の隅っこでちょっと考える。それはいやかもしれない。でも、死ぬほど恥ずかしい、って意味だとしたら、それはすごくすごくよくわかる。そんな気分だった。

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