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「ひ、ん、」
喘ぐ声が揺れて掠れたのが、絶頂の前触れ。
滝口さんは僕より僕の身体のことをわかってるみたいに、内側を押し揉む指にも、外側でねっとり吸い上げる口腔にも、本気のスパートを掛ける。僕はその高い波に、そのまま押し上げられるだけだった。
「──……ッッ」
目の前がスパークする。
その後で、空から墜落するみたいな虚脱感。……ゆっくりと、自分の荒い呼吸が聞こえてくる。はー、はー。投げ出したまんまの腕も脚も、じんわりゆるく痺れてるようで、余韻までが快感で出来てた。
「瑠姫君、大丈夫?」
「……も」
うまく回らない舌で、僕はせめてもの抗議をしようとする。気持ちよくて抗議するのもおかしな話だけど、でも。
「もう、だめ?」
「も、……ばか……」
滝口さんに本気を出されたら、僕なんか勝てない。もっと、初心者向けのえっちでいいのに。
たった二文字の暴言に込めたこちらの気持ちを、滝口さんが察してくれたとは思わない。
でも、僕の言葉を聞いた彼は、なんだかすっと真顔になった。「瑠姫君」と低めた声音で、僕を呼ぶ。
くったり力の入らない両脚を、想像もしないふうに抱え上げられたのと同時。
「──ひどくしないつもりだけど、きつかったらごめんね」
「え」
「瑠姫君にあんなに可愛く罵られたら、なけなしの理性がぜんぶ吹っ飛んじゃった」
悪びれもせずにそんなことを言った滝口さんが、ぐく、と僕へ沈み込む。僕の、なか。熱くて硬い、濡れた切っ先。
「ひあっあ、ア!」
堪えきれずに、声を放つ。びっくりするくらい、高くて甘い声だった。僕に覆い被さる滝口さんが、目元を眇める。
「瑠姫君、可愛い」
「は、ん、ん」
「もうちょっとだけ頑張って……痛く、ないよね? 息、ちゃんと止めないで。瑠姫君……」
懇願するみたいな声が、じんじんとお腹に響く。なんで。なんでこんなに、気持ちいいんだろう。ぜんぶ。ぜんぶ。
「なか、すごくやわらかいよ。びくびくしてる……。あつくてとけそう……瑠姫」
るき。
そう呼ばれた瞬間に、僕のいちばん奥をとん、と突かれた。そこが最後。僕の記憶は、その先が曖昧。
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