4 / 32

第一章・4

「まさかコーヒーを飲んで溜息をついていたなんて。すみません、少し気になることがあって」 「気になる事? 愚痴なら聞きませんよ」 「石丸くん、ってば!」  いちいち癇に障る石丸はひとまず置いて、伊予は英治の様子を話して聞かせた。 「眼精疲労と笑ってはいらっしゃるんですが、疲労の色が全身から滲み出ておられて」 「役立たずの部下を持つと苦労しますね」 「まとまった休暇をお勧めしたいんですが、取りつく島もないんです」 「不在中が怖くて休めないでしょうねぇ」 「何とか疲労回復のお役に立ちたいと考えているんですけど」 「馬鹿の考え休むに似たり」  がたん、と伊予は椅子を蹴って立ち上がった。 「君とはいずれ決着を付けなきゃならないと思っていたよ、石丸くん!」 「よく言いましたね。後悔しなさんな、鹿久保くん!」 「ああもう、二人ともやめなさい~!」

ともだちにシェアしよう!