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第一章・4
「まさかコーヒーを飲んで溜息をついていたなんて。すみません、少し気になることがあって」
「気になる事? 愚痴なら聞きませんよ」
「石丸くん、ってば!」
いちいち癇に障る石丸はひとまず置いて、伊予は英治の様子を話して聞かせた。
「眼精疲労と笑ってはいらっしゃるんですが、疲労の色が全身から滲み出ておられて」
「役立たずの部下を持つと苦労しますね」
「まとまった休暇をお勧めしたいんですが、取りつく島もないんです」
「不在中が怖くて休めないでしょうねぇ」
「何とか疲労回復のお役に立ちたいと考えているんですけど」
「馬鹿の考え休むに似たり」
がたん、と伊予は椅子を蹴って立ち上がった。
「君とはいずれ決着を付けなきゃならないと思っていたよ、石丸くん!」
「よく言いましたね。後悔しなさんな、鹿久保くん!」
「ああもう、二人ともやめなさい~!」
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