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第四章 意気投合♡

 マンションに到着し、自分の部屋へ入った途端、伊予の目からは涙がぼろぼろこぼれてしまった。 「う、うぅ。ひっ、く。ふぅ、う……」 「大丈夫……、じゃないね。鹿久保くん」 「うあぁ、大沢さんン!」  抱きつかれ、わぁわぁ泣かれ、英治は伊予の背中を優しくさすった。 「酷い目に遭ったね。でも、もう怖くないから、ね」  しかし……。 (正直、驚いた。まさか憧れの人が鹿久保くんだったとは) 「大沢さん!」 「な、何!?」  涙目で、伊予は英治をじっと見つめてきた。 「僕のこと、軽蔑しましたよね? 女装趣味で、痴漢に汚された間抜けな男って思いましたよね!」 「いやいやいや、大丈夫。君は何もおかしくないし、悪くもない」  まずは落ち着こう、と英治は伊予の肩をぽんぽんと軽く叩いた。 「鹿久保くん、コーヒーが趣味だったよね。自慢の腕で、私に一杯淹れてくれないかな」 「は、はい……」  慣れた手つきで豆を挽き、器具を扱ううちに、伊予の心は平穏を取り戻していった。  リビングに香ばしい匂いが漂う頃には、涙も乾いていた。

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