31 / 32

第四章・8

「いらっしゃいませ……、あれ?」  ドアベルが鳴り、『がらくた』の石丸は挨拶の語尾にクエスチョンマークを付けた。  入って来たのは、常連の伊予だ。  だが、今日は連れがいる。  背の高い、伊予と一回りは年の離れた風のナイスガイだ。 「こんにちは、マスター」 「いらっしゃい、伊予くん。そしてこちらは、もしかして」 「大沢です。いつも鹿久保がお世話になってます」  ははぁ、とマスターはうなずいた。  伊予くんの憧れだった、噂の大沢さん。  こうして仲睦まじく来店してくれた、ということは……。 「大沢さん、お噂はかねがね聞いていますよ。どうぞ、おかけください」

ともだちにシェアしよう!