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第一章・4

 人気のない建物の陰に身を潜め、凱は少女の体をむさぼった。  特に、胸。  丸い乳房に手を這わせ、たっぷりとも揉みしだき舐めまわす。  怜也にはまず見られるはずのないこの体の一部に執着することで、彼の姿を頭から追い出そうと必死になった。 「あぁん。あッ、あぁあ!」  いつもより激しい凱の愛撫に、すっかり夢中なのは少女も同じだった。  悶え、声を上げて、両手両足で絡み付いてくる。  挿入して腰をやるとその喘ぎはさらに激しくなり、悲鳴を上げて悦んだ。 「あぁ! あぁあ、イヤぁああん!」  少女を組み敷いても、頭から離れない。  怜也の姿が離れない。  こうやって、地に押さえ込んでいた先ほどの、あの肢体の感触が消えない。 「えぇい、くそッ!」  ふ、と人の影が自分にかかる気配を感じて、凱は動きを止めた。  はっとして顔を向けると、そこには円い眼をした怜也が呆然と立っていた。 「え? あ、いや、ごめん。女の子の悲鳴が聞こえたから……」  少女も気づき、慌てて腕を縮めて肌を隠す。  派手な声を上げやがって、こいつ。まるで俺がレイプでもしてるみてえじゃねえか! 「合意の上だ。文句あっか」 「いや、その、ごゆっくり……」  ぱたぱたと走り去ってゆく足音がしだいに小さくなる。  すっかり興が冷めてしまった。  それは少女も同じようで、もそもそと服の裾をいじっている。  ち、と舌打ちし、凱は衣服を整えた。

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