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第一章・7

「あぁ、自己嫌悪」 「何が自己嫌悪なんだよ」 「凱!?」  まさか、本人が目の前に現れるとは!  怜也の頬は、さっと赤く染まった。 「あ、あの。さっきは」 「さっきは?」 「さっきは、ごめん……」  許しも請わず、ずかずかと室内に上がりこみ、どかりと隣に座った凱の息は、少し酒臭い。  飲酒までしているのかと、怜也は驚いた。 「許せねぇなぁ」 「え?」 「許せない、っての。せっかく楽しいコトしてたのに邪魔されて、俺はかんかんに怒ってます、ってこと」 「そんな」  だから、と腕を怜也の肩に回し、その細い顎をくいっとつかんだ。 「だから、お前が責任取れ」  肩に回した腕に軽く力を込めて動けなくしてから、凱は怜也の唇を奪った。 

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