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第一章・10

 首筋をさまよっていた唇はさらに下へ下へと進出し、ついにははだけた服の間からのぞく白い胸へと降りていった。  手を広げ、指腹で胸を撫で回す。  それに唇が、舌が加わり怜也をいじめてくる。 「や……いや……」  イヤと言っても本心ではないはずだ。  凱は怜也の反応を好意的に感じていた。  今まで抱いてきた女もそうだ。  口では嫌がっても、すぐに濡れてくる。  処女を抱いたことも何度かあったが、それでも未知の興奮に身をゆだねてきたものだ。  胸を嬲りながら、そっと怜也の下半身に片手を伸ばした。  きっとそこは、硬く勃ちあがっているはず。  そう考えながら、内股に手を当てた。  びくん、と怜也の体が跳ね上がった。  いい反応だ。  しかし、凱は手を止めた。  怜也のそこはまるで満ちてはおらず、ぐったりと静まり返ったままなのだ。

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