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第二章・3
暗い映画館の中、凱は映画より怜也を見ている方がおもしろかった。
タイトルは何にしようか迷ったが、大人も子どもも楽しめるようにリメイクされたヒーローアクションもの。
これなら無難なところだろう。
派手なCG効果で銀幕がフラッシュするたび、びくりと身をすくめ眼をぱちぱちさせている。
いつのまにかそっと伸ばした凱の手を握り、爆破シーンが起こるたびにぎゅうと強く力を込める。
そして、主人公が悪の組織に身内を殺され涙する場面では、一緒にもらい泣きしているのだ。
あまりにも素直なその反応は、すれっからしの少女ばかり相手にしてきた凱には新鮮だった。
ラストで正体を明かし、ヒロインと口づけを交わす主人公。
そんなお子様向けのラブシーンにも頬を赤らめ、うつむく姿はかわいかった。
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