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第二章・9
バカバカしい。さっさと襲っちまえ、と心の中で自分をからかうもう一人の自分がいる。
でも、どちらの自分も結構今を楽しんでいるのだ。
ゆっくり時間をかけて、怜也の心を、体を解きほぐしてゆく時間を楽しんでいるのだ。
おかげさまで、軽いキスなら怖がらずに応じてくれるようになった怜也。
さて、次はどう攻略するか。
そんな作戦を練る時間もおもしろいものだった。
それに、毎晩無駄に会っていたわけではない。
必ず、手には本を持って訪問した。
美しい画集や、写真集だ。
二人で寄り添って眺めては、距離を縮めてきた。
肩に手を置いても、腰に腕をまわしても、まるで自然に触れ合う事を許し始めている怜也を、今後どういう風に攻めていくか。
初対面の少女と2時間後にはセックスしていた時とは、わけが違う。
丁寧に、時間をかけて、怜也を少しずつ手に入れてゆく楽しさは、これまでにない悦びを凱にもたらしていた。
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