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第二章・13
体を撫でられ、キスをされながら、怜也はのぼせた頭でただひたすら凱の名前を心の中で唱えていた。
ひどく気持ちいい心地。
ふわふわと、まるで夢のよう。
そんな中、しだいにはだけられてゆく肌。
でも、抗えない。
抗いたくない。
もっともっと、この心地を味わっていたい。
凱の唇が、舌が、胸を這う。
静かに、優しく可愛がってくる。
時折、ぴくんと体が跳ねる。
そのたびに、声が漏れる。
「あッ、ぁん。んッ……」
凱、と名前を呼ぶと、怜也、と返ってきた。
あぁ、なんて幸せな気持ち。
このまま……、このまま……。
「怜也。怜也?」
すぅすぅと安らかな息がただ吐かれてくる。
何てことだ。
「寝オチとか、ないぜ……」
だが、飲ませたのは自分なので、誰を恨みようもない。
寝ている間にいただくなどもったいない事はできないので、衣服を整え寝室へ怜也を運んだ。
まぁ、ここまで進展しただけでも御の字だろう。
それに、自分の方にも重要な課題が残ってはいるのだ。
今日はここまで、と凱は怜也の部屋を後にした。
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