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第三章・2
酔っていたとはいえ、あんな恥ずかしい事を。
そう考えて、怜也は頬を両手で覆った。
凱とキスした。
そこまではいいとして。
いや、いつものキスとはちょっと違っていたので、その時点ですでに恥ずかしい。
しかも、体中撫でまわされてキスを落とされて、その上で。
「あんな声が出ちゃうなんて」
自分でも、信じられないくらい甘い声が出た。
もっとずっとそうされていたいと願って身悶えた。
あまりの恥ずかしさに、顔から火が出そうだ。
でも、とも思う。
初めて凱にソファへ押し倒された時とは違う。
あの時はただ、怖くて悲しいだけだった。
今回は、恥ずかしい、と、とても恥ずかしい、と、すごく恥ずかしい、と、それとちょっぴり……。
(気持ち、よかった)
あぁ、と大げさに首を振る。
僕は一体どうしちゃったんだろう。
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