30 / 144

第三章・3

 ほら、今夜も凱がやって来た。  ソファに座り、寄り添い、本をめくりながら体を撫でてくる。  時々、耳や首筋に顔を埋めてキスをくれる。  甘い息が漏れる。  くたんと横になると、シャツの裾から手を忍び込ませ、凱の手がお腹を撫でる。  胸まで伸びて、撫でてくる。 「んっ、あ。ふぅ、あっ」  はぁはぁと息が上がる。  もうダメ。苦しい。  そこで、やめてくれる。  罪のない、軽いキスをおしまいの合図にして、床に落ちた本を拾う。  おやすみのキスは、あの日から少し長くなった。  舌を絡ませあい、濡れた音を立てて求め合うようになった。  でも、もう怖くはない。  また明日、会える。  そう思うと胸が温かくなる。  そして、ドキドキと鼓動が速くなる。  明日もまた、凱が僕の体をいじりに来る。  そう思うと、全身が熱くなる。  僕は一体どうしちゃったんだろう。

ともだちにシェアしよう!