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第三章・4

 明日は土曜日。  凱は覚悟を決めていた。  毎晩私室でメモを熟読し、イメージトレーニングに励んだ。  誠に恥ずかしながら自分の尻の穴に指を突っ込んで、試してみるところまでやった(これは相当勇気が必要だった)。 「今夜、泊まりに行ってもいいか」  昼休み、温室で怜也と二人きりになった時を狙って、思いきって切り出した。  え、息を飲む気配。  即答はない。  それもそうだ、子どもの頃のお泊り会とはわけが違う。  毎晩キスをし、体を触れ合わせるところまで来ているのだ。  いくら怜也が真面目とはいえ、凱の言葉の裏に隠されている望みをうかがう事は容易だった。  どうしよう。  やっぱり怖い。  でも、凱はあの時とは、初めて僕を押し倒した時とは違う凱になっている。  とても優しい凱に、変わっているのだ。 「イヤだったら、途中でやめるから」  こんな事まで言ってくれている。  怜也は、真剣な凱の眼を信じることにした。  うん、と小さくうなずくと、彼はホッとしたようにキスをくれた。  あぁ、神様。どうか御加護を。

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