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第三章・9

 これでいいはずだ。  二本から三本に指を増やしても、痛そうな気配はない。  早く挿れたい、とも思ったが、ここで焦ってはこれまでの苦労が水の泡だ。  凱は、ただひたすらゆっくりじっくり指を動かした。  時折、すごく感じる部分に凱の指が当たる。  そのたびに、恥ずかしい声をあげてしまう。  声だけではない。  指を拭き刺しすることで生まれる、粘っこい水音もいやらしい。  恥ずかしい。  恥ずかしい。  でも、すごく気持ちいい。  今、凱の指は何本入ってるんだろう。  そして、この後に挿れられるものは。  ぞくり、と背筋を快感が走る。  凱のものが欲しい、と身をくねらせる。  今、こんなに気持ちよくって、この上彼のものが挿入ってくると思うとたまらない。 「来て……」 「ん?」 「今なら、大丈夫みたい。挿れて、みて」  ごくり、と凱は生唾を飲んだ。

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