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第二章・2
海。岩場に鎖でつながれているアンドロメダ姫。
人々が遠巻きにそれを見守る中、化け鯨が登場する。
男 「おお! 化け鯨が現れたぞ!」
女 「おいたわしい姫様。あの醜い化け物の餌食になってしまうのね」
鯨 「バォーン!」
「バォーン、って何だよ! バォーンって!」
「ひぃ! すッ、すみません!」
別にお前のせいじゃねえだろ、と凱は台本を閉じた。
全く忌々しいのは天知だ。
自分を引き立たせるためなら、俺にバォーンとまで言わせやがる。
そこで、ふと凱は匠を見た。
控えめでおとなしい、クラスでも目立つことのないこの少年も、何か役がもらえたのだろうか。
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