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第二章・3
「お前、何の役だよ」
「え?」
おどおどとした匠の素振りを見ていると、だんだんイライラしてきてしまう。
やや怒気をはらんだ声で、凱はもう一度訊いた。
「だから、お前の配役はどうなってんだ、っての!」
「あ、あの、ボクは、ナレーターです……」
「ナレーター? 顔は出さねえのか?」
「ボクは、舞台栄えする顔じゃないから、って……」
全く、と凱はうんざりした。
これはイジメだな、とげんなりした。
そして、そんな天知に誰も異を唱えることをしなかったに違いない。全員共犯だ。
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