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第二章・5
怜也を探しに行った凱は、いろいろな場所を点々とするうちに、さらに不機嫌になる場面に出くわしてしまった。
静かな所を好む怜也を探すため、人気のない場所を選んで見て回っていたので仕方のない事なのだが、人目を忍んで行われる悪事の現場に突き当たってしまったのだ。
「これ、今月の分です……」
さっきまで自分と話していた匠が、数名の少年に囲まれている。
そのうちの一人が、匠の手にした数枚の札をむしりとるように奪った。
さらにその金は、一番横柄に構えている人間に手渡される。
「これだけ?」
「あの、今月は、学用品を買わなきゃいけなかったから」
「じゃあ、来月その分上乗せしなよ」
「そんな……」
「できないっての?」
「いえ……ちゃんと準備します……」
カツアゲか、と凱は溜息をついた。
ギャンブルならやるが、カツアゲはしない主義だ。
弱い者からむしるのは簡単だが、面白みに欠ける。
自分だけ安全な場所にいて金儲けするのは美学に反する、というところだ。
ボスは誰だ、と凱は首を伸ばした。
後姿でよく解からないが、あの背格好や髪型には見覚えがある。
少年たちに小突きまわされる匠を笑っている、その横顔は。
天知。
カツアゲの主犯が、あの優等生の天知くんだったとは。
エリート面しやがって、陰に隠れてこんなお遊びするたぁ益々いけ好かないヤツだ。
少し考えた後、凱はニヤリと笑ってその場に出て行った。
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