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第二章・11

 最後の練習が終わり、明日の成功を祈りながらそれぞれが帰途に着き始めた時、匠は天知とその取り巻きの少年たちに呼び出されていた。  びくびくと怯える匠に、天知は一冊の台本をよこしてきた。 「これは?」 「本番用だ」 「え?」 「ラストがちょっと修正してあるから、そのとおりに読むんだ。いいな」  匠はページをめくった。  確かペルセウスがアンドロメダ姫を抱き上げて、周囲から祝福を受けて幕、ということになっていたはず。  ペルセウス  「姫。もう大丈夫ですよ」  アンドロメダ 「あぁ、ペルセウス様」  ナレーション  ペルセウスに救われたアンドロメダ姫。          その数奇な運命に導かれた二人の美しい男女は、          誓いの口づけを交わすのでした。

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