62 / 144
第二章・13
息せき切って駆けてきた匠の剣幕に、凱は仰天した。
あの気弱な匠が、血相変えて飛び込んでくるとは。
その上、凱と一緒にいた怜也には、悪いけど外してくれないか、などと言ってくる。
「男同士の、大切な話があるんだ」
「僕も、男なんだけど」
「あ! いや! えぇと、ワル! そう、ワルの密談だから!」
ワルって、と胡散臭げな顔を向けてくる怜也に、凱は引きつった笑いを浮かべた。
「凱、横山くんに何か変なこと吹き込んだだろ」
「いや~、ちょいと友情を育んだだけだぜ?」
怜也から遠ざかりながら、凱は匠を小突いた。
「お前、ああいう言い方はねえだろ!」
「ごっ、ごめん。でも、大変なんだ」
離れたところを見計らって、匠は先程の天知の計画を打ち明けた。
これにはさすがの凱も焦った。
よりによって、衆人の見守る中、怜也にキスしようとは!
ともだちにシェアしよう!