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第二章・13

 息せき切って駆けてきた匠の剣幕に、凱は仰天した。  あの気弱な匠が、血相変えて飛び込んでくるとは。  その上、凱と一緒にいた怜也には、悪いけど外してくれないか、などと言ってくる。 「男同士の、大切な話があるんだ」 「僕も、男なんだけど」 「あ! いや! えぇと、ワル! そう、ワルの密談だから!」  ワルって、と胡散臭げな顔を向けてくる怜也に、凱は引きつった笑いを浮かべた。 「凱、横山くんに何か変なこと吹き込んだだろ」 「いや~、ちょいと友情を育んだだけだぜ?」  怜也から遠ざかりながら、凱は匠を小突いた。 「お前、ああいう言い方はねえだろ!」 「ごっ、ごめん。でも、大変なんだ」  離れたところを見計らって、匠は先程の天知の計画を打ち明けた。  これにはさすがの凱も焦った。  よりによって、衆人の見守る中、怜也にキスしようとは!

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