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第二章・14

「ちくしょう、こうなったら滅茶苦茶にしてやる!」 「滅茶苦茶って?」 「化け鯨がペルセウスをやっつける話に変更してやる!」  ちょっと待ってよ、と今度は匠が焦った。 「せっかく皆で一生懸命練習してきたんだから、それはまずいよ。幕の途中で話をおじゃんにしたら、皆に申し訳ないよ」 「じゃあ、おとなしく俺には石になってろってか!?」 「ボクに、いい考えがあるんだ」  ごにょごにょごにょ、と匠のいい考えとやらが伝えられ、凱の焦りの表情は緩んでいった。 「横山。お主もワルよのぅ♪」 「いえいえ、お代官様ほどでは♪」  凱と匠、固く男同士の握手をすると、では明日、と別れて行った。

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