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第三章 本当の英雄
待ちに待った、秋の収穫祭。
講堂には生徒以外に、地域の大人や子どもが集まった。
人々は皆、大地の恵みに感謝し、祈り、その喜びを分かち合った。
荘厳な歌や華麗な舞が奉納された後、舞台は一般の人間へと開放された。
そして、我こそはという大人たちが、余興を始めた。
詩吟であったり、日舞であったりとどれも素晴らしいものだったが、いささか子どもたちにはつまらない。
退屈に感じ始めたその時、ペルセウスとアンドロメダ姫の劇が始まると聞いて、眼を輝かせた。
あの有名な神話なら知っている。
化け鯨は石になっちゃうんだよね、などとあらすじを囁きあいながら、じっと舞台を見守った。
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