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第三章・3

「おお! 化け鯨が現れたぞ!」 「おいたわしい姫様。あの醜い化け物の餌食になってしまうのね」 「バオーン!」  ついにクライマックス。  相変わらず滑稽な化け鯨にくすくす笑いながらも、颯爽と現れた勇者ペルセウスの姿に子どもたちは夢中になった。 「ペルセウス、かっこいい!」 「やっつけろ!」 「おや、あれは天知様のご子息では?」 「ペルセウス役とは、さすがですな!」  天知が化け鯨の凱を踏んだり蹴ったり殴ったりするたびに、歓声があがる。 舞台は最高に盛り上がった。 「そしてついに掲げられたメドゥーサの楯! 化け鯨は、たちまち石と化してしまいました!」  ナレーションの匠の声にも熱がこもる。

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