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第三章・6
劇の中に一ノ瀬を仕込んだ時点で、ある程度のイレギュラーは覚悟しておかねばならなかったのだ、という結論に達し、打ち上げは和気藹々と行われた。
衆人観衆の中でキスシーンを披露する羽目になった怜也は、あまりの恥ずかしさに居ても立ってもおられず、早々に寮の自室へ引っ込んだ。
面目丸つぶれの天知は愛想笑いこそしていたが、心の中は負け犬精神でいっぱいだった。
思いもよらぬナレーションで学校中を驚かせた匠は、その豪胆さを皆が認めることとなりいじめられっ子ではなくなった。
全ての元凶である凱は、大勢の怜也ファンからその命を狙われることとなった。
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